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精神科医・森隆徳が語る医療に活きるクイズ(全4回)
第1回 『ウルトラクイズは、優勝する気でいました』


 

『ビジネスに効くクイズ』は、毎回、趣味のクイズを仕事に活かして多彩な分野で活躍されている方をお招きし、「仕事とクイズの関わり」について語っていただくトーク企画。ビジネスや生き方の参考になる、人生に役立つヒントが満載です!このページでは、実際にRBL CAFEで催されたイベントの模様をお伝えしていきます。

第2回目のゲストは、精神科医として医療の現場に従事する一方、クイズプレーヤーとしても活躍される森隆徳さんをお招きしました。“クイズドクター”と呼ばれ、講演やテレビ、ラジオなどでも活動の場を広げる森さんは、「医療」と「クイズ」という異色の世界を自由に行き来する、柔軟なフットワークの持ち主。今回は、そんな森さんが医師を志したきっかけや、クイズとの出会いなど、貴重な学生時代のお話にフォーカスします。

──森さんがクイズに興味を持ったきっかけは何だったのですか?

僕が小学生だった頃は、けっこう視聴者参加型のクイズ番組が多かったんです。その中でもお昼に放送されていた『ベルトクイズQ&Q』は、学校の先生が観させてくれていました。テレビを観ていて自分でもわかる問題があると、答えたくなるじゃないですか。正解するとやっぱり嬉しくなるんですよね。あと、家にも『クイズグランプリ』の本が1巻から5巻まで揃っていて、勉強の合間に読んだりしていました。そんな環境の中にいたので、クイズが面白く感じ始めていたんだと思います。

──中学時代はどのように過ごされていましたか?

中学時代はちょうど『3年B組金八先生』が流行っていた時で、授業が無かったり、先生が来るのをバットを持って待ち構えているような、そんな環境の学校だったんですね(笑) 小学校時代の友達はみんな良い中学に行ってしまって周りにいなかったので愕然としていました。

それで高校は優秀なところに行くしかないと思って、国立の広島大学付属高校を目指すことにしたんです。ちなみに小学生の時に好きだった女の子がいて、彼女が広島大学の附属中学校に進学していたんですね。だから高校で再会したいと思ったのも動機の一つです(笑)

──無事に再会することはできたんですか?

高校で一緒のクラスになったんですよ!でも、僕のことを覚えていなくて……。その瞬間に失恋ですよね。流れるように終わったわけです。

──それは残念でしたね……。ところで森さんが精神科医を志されたのは中学時代と伺っていますが、影響を受けた出来事はあったのでしょうか?

『ミッドナイト・エクスプレス』という映画を親友と観に行ったんですが、精神科医がちょっとだけ登場するシーンがあったんです。そこで急に“降りてきた”というか、「精神科医になろう」って思ったんですよ。

その前に、天文学者になろうと考えていた時期もあったんですけど、普段あまりものを言わない父親が「それじゃあ、あんまりお金にならんね」って言ったんです(笑)まぁ確かに天文学だったら趣味の範疇でもできるなと思い始めて、医者になろうと。

それで、どうせ目指すんだったら脳の研究が面白いなと思って、脳外科か精神科か神経内科という選択肢が出てきたんです。その中でも精神科って当時はあまり目指す人がいなくて、逆にそれがチャンスだなと考えたんですよ。それが精神科医を目指した理由の一つでもあります。

──中学生で、そこまで考えられるなんて!

中学1年生でしたね(笑)でも僕はあまり優秀な方じゃなくて、どうしたら付属高校に入れるのかと日々思っていて、いろいろな本を読んだりしていました。そこで、入江伸さんの本に出会ったんです。入江さんて、灘高とかの名門校に生徒をどんどん送り込んでいた『入江塾』という有名な塾の先生なんですけど、その本がすごく面白くて影響を受けました。

例えば、中学数学だったら3年間で習う内容を1年生のうちにやっちゃう。授業でやらないから、ほとんど独学でしたね。あと、英単語も中学生だと800語くらい覚えればいいのですが、高校卒業までに覚える6000語を中学のうちに全部覚えようと自分で計画を立ててやったんです。学校の授業は苦手だけど、自分で考えたレッスンはしっかり頑張ってやる。それを中学1、2年である程度身につけたら、案外いい成績だったんですよ。その頃になると、もう付属に入れるだろうなという手応えはありましたね。

──まさに中学時代は努力の時期だったんですね。ただ、高校生になるといったん勉強からは距離を置くようになったとか?

高校に入るまでは非常に勉強を頑張っていたんですけど、僕の人生はそこがピークだったのかも(笑)けっこういい成績で入学できたと思っていたから、その調子で初めての中間テストはトップを狙いたいじゃないですか。そのつもりで勉強していたんですけど、完全に負けました(笑)ヘラヘラしてる周りの奴らがみんな100点ばっかり取るんですよ。それであまり勉強に魅力を感じなくなって、突然空手にハマり始めて(笑)体ばっかり鍛えていました。そのせいで浪人する羽目になったんですけどね(笑)

──クイズ方面はどうでしたか?

勉強から離れたからか、『アメリカ横断ウルトラクイズ』以外のクイズ番組は一切観なくなりましたね。当時は、“知識よりも肉体”って思ってましたから。今は体重が90キロ近くありますけど、当時は細マッチョで、シックスパックもあったんですよ(笑)

──すごい!その後、浪人生活を経て広島大学医学部に入学されるんですね。

えぇ。クイズにつながる話としては、これはもう道蔦(岳史)さんのおかげなんです。道蔦さんが書かれた『TVクイズで10倍儲ける本』というなんとも怪しいタイトルの本がとても面白くて(笑)書いていることがすごく的確で、僕の心にクイズを取り戻してくれたような本でした。それを読んでから、僕は「クイズをやろう!」と改めて思いました。クイズの知識を活かしてお金を稼ごうと。

当時の僕は、大学に入ったはいいけれどモチベーションがないまま来ていました。それで何に一番興味があったかというと、麻雀だったんですね(笑)麻雀をやり、塾の講師をやり、家庭教師を77人受け持ったりしていました。そこでクイズの知識を活かした授業を展開したりして、そこからまたクイズが近い存在になったような気がしました。

そんな中で、『アメリカ横断ウルトラクイズ』の第13回大会を観たんです。出場者のみなさんの姿に感銘を受けて、お金を稼ぐことを考えたりするよりも、知識を身につける趣味の方がいいんじゃないかって思って、それで一生懸命勉強して第14回大会に出場したんです。結果は、あっさり敗退でした(笑)

悔しかったんですが、その後に『第1回FNSクイズ王決定戦』という番組がありまして、中国・四国大会を突破して代表の3人の中に入れたんです。これはやっぱりやる気が出ますよね。それでもう、いきなり有名人になるんじゃないかなって勝手に思っていたんです(笑)

──クイズ方面はどうでしたか?

勉強から離れたからか、『アメリカ横断ウルトラクイズ』以外のクイズ番組は一切観なくなりましたね。当時は、“知識よりも肉体”って思ってましたから。今は体重が90キロ近くありますけど、当時は細マッチョで、シックスパックもあったんですよ(笑)

──その結果はどうだったんですか?

有名になることもなく、やっぱりあっさり1問目で落ちたんですよ(笑)フジテレビの本社前に並んで一人ずつ出題されるんですけど、「ICPOの本部はどこ?」っていう問題でした。ちょっと前に本部の場所が変わっていて、不正解でした(笑)それは本当に悔しかったですね。

──その悔しさをバネに、第15回のウルトラクイズにも出題されたんですよね。

はい。その時は医学部の6年生で、優勝する気でいましたから、番組のために2カ月間も空けるってことは留年する覚悟でしたね。6年生で単位を落としたら5年生からやり直しなので、2年間留年する気持ちでいたんです。だから全教授に挨拶しに行って、「NYから帰ってきたら、5年生からやり直します」って宣言したんですよ(笑)じゃんけん大会も過去のビデオを全部チェックして、ものすごく研究してました(笑)で、念願叶ってじゃんけんを突破しました!

その時は能勢(一幸)君をライバル視してましたね。FNSの予選を突破したのが能勢君と僕だけだったから。その大会で僕は、未放送の問題を“回収”する係だったんです。録音機で録った音声を文字起こししてクイズの練習をする係。でも僕がグアムで落ちちゃって、しかも録音機ごと落っこちましたからね(笑)そのまま離れ離れになって録音機も無くなったから、その後みんなは大変だったみたいです(笑)

そんな感じで、僕のウルトラクイズの歴史は終わりました(笑)で、大学に帰ってきても、そのまま6年生を終えるのは僕の中でできないなぁと思って。そこで入局する予定だった精神科の教授に「2年ほど遊ばせてください。しっかり遊んだら必ず精神科に入りますから」と伝えて、それで2年間遊ばせてもらって、結局医者になりました。

──その2年間はどうすごされていたんですか?

ほぼクイズですね。「モミジ倶楽部」っていう名のサークルを作ったりして。それこそ暇ですから、能勢くんのいる一橋大学に行って対抗戦をしてもらったりとか、まぁ自由奔放に過ごしてました(笑)そんな青春でしたね。
>>>充実した2年間を経て、森さんは精神科医としてスタートを切ります。次回は森さんの医師時代のエピソードを中心にお伺いします。

取材協力:栗林拓司
掲載日時:2019/01/31 11:00
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