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連載企画 > ビジネスに効くクイズ 第3回

永世名人・森内俊之が語る将棋に活きるクイズ(全4回)
第1回 『クイズ本を片っ端から読んでいました』


 

『ビジネスに効くクイズ』は、毎回、趣味のクイズを仕事に活かして多彩な分野で活躍されている方をお招きし、「仕事とクイズの関わり」について語っていただくトーク企画。ビジネスや生き方の参考になる、人生に役立つヒントが満載です!このページでは、実際にRBL CAFEで催されたイベントの模様をお伝えしていきます。
3回目のゲストは、プロ棋士として数多くのタイトルを獲得し、十八世名人の称号を持つ森内俊之さん。将棋界での活躍は言わずもがな、趣味のクイズでもテレビ番組で優勝経験があるほどの実力の持ち主です。子どもの頃から将棋とクイズの両分野に親しんできたと語る森内さん。集中力と“先読み力”が求められる将棋は、クイズを鍛錬する上で必要なスキルと重なる部分があるのかもしれません。森内さんのお話を通して、将棋とクイズの共通点や、人生におけるクイズの活かし方を探る今回のトークイベント。まずは、森内さんが本格的にクイズを好きになったきっかけや、クイズにまつわるエピソードを中心に伺いました。

── 森内さんの将棋との出会いをお聞かせください。

将棋を覚えたのは小学校3年生の時です。たまたま学校で将棋が流行っていて、友達から教わったのが最初の出会いですね。その時はルールがあやふやだったから、負けそうになったりすると駒をワープしたりする子もいて(笑)

「そういうのもアリなのかな」って最初は思っていたんですけど(笑)途中から父にルールを聞いたりして、きちんとルールに基づいた将棋を始めました。祖父がプロ棋士だったこともあって、それからすぐに将棋教室に通うようになり、ますます熱中していきました。

── その後は16歳でプロ棋士に昇格され、17歳で新人王戦で優勝されています。これは、藤井聡太七段に更新されるまで新人王戦の最年少優勝記録だったんですよね。

当時、私はまだ高校生だったので、なかなか更新するのが難しい記録かなと思っていたんですが、藤井さんは16歳で優勝されて見事でしたね。それにこうやって30年以上も経ってから再び話題になって、取り上げていただいたのも光栄です。

── その頃は、将棋の勉強を相当努力されていたんじゃないですか? 学校の勉強との両立も大変そうですね。

中学・高校の頃は将棋にすごく熱中していた頃で、授業中や電車での移動時間もかなり将棋のことを考えていて、悪い生徒だったなぁと今にして思います。でも、それくらいの気持ちを込めて将棋に打ち込んでいましたね。強くなる時期でもあるので、充実した毎日でした。

私立の進学校だったんですが、高校に入って、プロになってからはあまり勉強をしなくなってしまって。出来がどうも悪くなってしまったんですけど、中学生くらいまでは普通に勉強をしていました。

── その一方で、クイズはいつ頃から興味を持たれたのですか?

クイズは子どもの頃から好きで、テレビでよく観ていたのは『アップダウンクイズ』とか『クイズタイムショック』ですかね。あとは『クイズダービー』も好きでした。

高校生くらいになると『アメリカ横断ウルトラクイズ』に夢中になって、どんどんクイズにのめり込んだ記憶があります。その時の回に、長戸勇人さんという伝説のクイズプレーヤーの方が出ていて、パフォーマンスも人気もすごい方だったんですよ。長戸さんの優勝シーンがすごくかっこよくて、その影響でクイズを本格的にやってみたいなと思いました。

── ウルトラクイズにも参加されたんですよね。

その頃はクイズの勉強の仕方がわからなかったので、新聞や雑誌を読む程度でしたね。その後、クイズ本の存在があることを知って、ウルトラクイズや高校生クイズの本を全部買ってきて、片っ端から読んでいました。ただ、根本的な知識がないので、その場で覚えてもすぐに忘れちゃうんですよ(笑)

── それから大学のクイズサークルにも入られたんですよね。

20歳くらいの時ですかね。将棋の方である程度の実績が出たというか、タイトルには届かなかったんですけど、棋士の実力を測るクラスみたいなものがあって、それがいくつか上がり、成績も良かったんです。そのタイミングで、これまで将棋に多くの時間を割いていたので、少し違うことをやってみようかなと思って、知り合いのツテを頼って大学のクイズサークルに入れてもらいました。

その年はすごくクイズにのめり込んだ年で、クイズ仲間と一緒に過ごす時間が長かったりして、とても印象に残っています。

─── その後、「ホノルルクラブ」という名門中の名門のクイズサークルにも入られるわけですが、こちらはご紹介だったそうですね。

クイズに熱中していた当時、TBSで「史上最強のクイズ王決定戦」という番組があったんです。その番組にクイズ王の水津康夫さんという方が出ていらして、将棋がお好きだということをお聞きしたので、年賀状か何かを私の方から出したんです。そうしたらご丁寧なお返事をいただきまして、クイズの強豪の方々が集まる場に招待してくださったんです。そこからクイズ関連の知り合いが増えまして、ご縁が広がりました。

── 「アタック25」のお話を伺いたいのですが、1995年に一般参加者として出場されていますね。

はい。自分で応募して、面接もして、何とか出られることになったんですけど、まぁ運が悪いことに対戦相手がクイズマニアみたいな凄い方ばっかりだったんです。結果はほとんど答えられなくて(笑)たしか最後にパネル1枚残ったんじゃないかな。ライバルが強すぎて困ったなぁという印象でしたね。

── しかしその10年後、「アタック25」の知性派タレントクイズ頂上決戦でリベンジを果たされました。

その頃はクイズをあまりやっていなくて、自信が無いままに出演してしまったんです。実は、自分の将棋のピークが2003〜4年頃で、2005年は負けが続いてタイトルが減ってきた時期だったんです。ちょうど一番厳しいタイミングで「アタック25」のお話をいただいて、クイズに参加することでリフレッシュできたらいいなという、そんな気持ちで臨んだ大会だったと思います。

ずっと将棋一筋でやってきて、実力以上に活躍できてしまったので、少し疲れていた時期だったんでしょうね。

── そんな状況だったのですね…。でも、見事優勝されました。何か秘策があったのでしょうか?

その時は負けが込んでいたので少し時間ができたんです。だから、ずっとご無沙汰していたクイズサークルに久々に連絡しまして、練習に付き合ってもらったり、予想問題なんかもやったりしました。「アタック25」って放送日に関する問題が出ることが多いんですけど、その対策もしたりして。本番では無事に正解できてよかったです。

その大会ではやくみつるさんがご一緒だったんですよ。やくさんがクイズにとても強いという話を耳にしていたので、「いかにして、やくさんに勝つか!」ということも意識していました。あと、パネルの取り方もすごく大事みたいでその研究もしましたね。

── 将棋での経験が有利に働いたと感じた点はありますか?

棋士としてテレビに出る機会は多いので、そういった意味では緊張せずに臨めたのではないでしょうか。ただ、カメラが回っている前で間違えるのが恥ずかしいという気持ちがあって(笑)慎重になりすぎてボタンを押せなかったりもしましたね。知識が豊富で裏付けがある方は堂々とできると思うのですが、やっぱり付け焼き刃だと自分の小心さがポロッと出てしまいますね(笑)
>>> 次回は将棋とクイズとの共通点を分析し、森内さんの考える“クイズの活かし方”についてお話を広げていきます。

取材協力:栗林拓司
掲載日時:2019/02/18 11:00
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