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クイズ王・能勢一幸が語る 埼玉県の魅力をクイズで発信(全4回)
第2回 『埼玉県はクイズ問題が非常に作りやすい土地柄』


 

── 「埼玉県の魅力をクイズで発信」という、今回のメインテーマについて伺っていきたいと思います。2012年から始まった『埼玉クイズ王決定戦』ですが、どういう理由から開催することになったのでしょうか?

ある雑誌に「県民愛着度調査」というものが載っていて、埼玉県が最下位だったんですね。その結果を見た県の上層部から「愛着度を高めるためにクイズ大会をやったらどうか」という提案がありまして、それでクイズイベントを行うことになったんです。観光課という部署が事務局を担当することになりましたが、そこから私に手伝ってもらえないかという声がかかりまして、携わることになりました。

そんな地元の愛着度を高めるイベントに携わる一員として、声をかけていただいたのは、とてもうれしかったですね。趣味で培ったクイズのノウハウを、イベント開催のアドバイスとして活かすことできればと思っていました。

──『埼玉クイズ王決定戦』は、どのような進行スタイルだったのですか?

イベントの概要をお話しますと、まずは3人1組でチームを組んで、県内3カ所で予選を行いました。各予選で敗者復活組を含めた3チームが勝ち抜き、合計9チームを決勝の場に集めて、優勝を競い合うという流れです。しかも優勝チームには海外旅行という豪華賞品が用意されました。

ちなみに第1回目では、「子ども大会」という小学生限定の企画もあったんです。そういった子ども向けのイベントと、一般層に向けたイベントが同時開催することになりました。

── クイズを行う上で、苦労した点はありますか?

予選の時期は真冬で、しかも予選会場が野外だったので、そんなに長い時間の拘束はできません。しかし、早押し機は1つの端子に3つまでという制限があったので、その点が苦労しましたね。

最終的にはナンバーワンにふさわしいチームを決めるために、クイズの実力も反映させなければいけない。その一方で、数多くのチームが集まっても、短時間で勝敗を決めなければならないとなると、どうしてもクイズの形式は限られてきますから。

そのような理由から最初は○×クイズを行い、ある程度チーム数を絞った上で3択クイズに入り、実力のあるチームを残すような流れを考えました。そして最後に早押しクイズを行い、“度胸のあるチーム”が残ると。そういった構成については、私からアドバイスをしました。

── クイズ経験者じゃないとできない的確なアドバイスですね。

初めてのクイズイベントでしたから要領もわからず、当初は最初の段階で早押しクイズを導入しようという動きがあったらしいです。やっぱりクイズを知っている人間が関わらないと大変なことになるぞと思っていたので、アドバイスができて良かったです。もしこれで失敗してしまうと、場合によっては今後催される埼玉県のイベントでクイズがNGになってしまう可能性もあったので(笑)とにかく、イベントを成功させるにはどうしたら良いかという視点でいろいろ動きました。

── 第1回目の『埼玉クイズ王決定戦』を振り返っていかがでしたか?

私の意見をいろいろと取り入れてもらい、スタッフにも恵まれて、すごく自由にやらせていただけたと思います。また、地元出身の「にゃんたぶぅ」というタレントさんのユニットがあるんですけど、MC回しもお上手で、そんな皆さんに助けられて、無事に終えることができました。

印象に残ったのは、クイズ終わりの打ち上げの際に伝えられた担当者さんからの一言です。「能勢さんが関わらなかったら全然違っていた。能勢さんがいなかったら、あり得なかった」と言っていただけました。

やっぱり相手からしてみれば、自分の課に関係ない人がアドバイザーという立場でやって来て、好き勝手なことを言うのは、当然面白くない部分も出てくると思うんですよ。でも、最後にそういった言葉をかけていただけて、本当にうれしく思いました。

── それは本当に素敵なエピソードですね。『埼玉クイズ王決定戦』では問題監修にも携われたと伺いましたが、具体的にどのようなことをされていたんですか?

問題監修という言葉の響きからすると、集められた問題の中から取捨選択を行うようなイメージを持っていたんですが、実際はけっこう大変な作業でした(笑)

当初、イベントの事務局である観光課が県内の市町村に問題作成の依頼をしていたらしいんですけども、いざ上がってくる問題の質が玉石混交なんですよね。真偽が定かでないものが含まれていたり、あと問題文の長短の差もあったりして。それらを修正し、まとめるのはけっこうな手間がかかりそうだぞと思いました。

そのため、いただいた問題を添削しつつ、以前「埼玉検定」という企画でも問題制作に関わっていたものですから、その時の問題を活かしつつ……という感じで、なんとか問題を作りました。結局それ以降は私の方で問題を作成し、観光課を介して確認を取って頂くようなスタイルにしました。とにかく第1回目は大変だったんですけども、2回目以降は時間がある時に問題を作って、データベースとして貯めていくようにしました。

── 想像するだけでも大変な作業ですね。問題を作成される上で注意した点や、意識された点はありますか?

まず、毎回違う問題を用意するという点は徹底していると思います。大会ごとに3、4箇所で予選を行いますが、当然そこでも違う問題を用意しています。

それには理由があって、昔『FNS 1億2,000万人のクイズ王決定戦!』という番組があったんですが、その番組では日本の南側の地区から予選が開始されていたんです。関東地区は最後だったので、私は先に予選に出場した地区の人から情報を入手して、問題の答えを徹底的に調べることにしたんです。

そうしたら、どうやら他の地区でもだいたい似たような問題が出るらしいということが分かってきました。実際に予選に挑んだところ、新しい問題もあったんですが、それまでに入手した情報にかなり近い問題が出たんです。その結果、全国トップの成績を取ってしまいました(笑)それはズルをしたのではなくて、スタッフが参加者側の“情報力”を甘く見ていたからだと思うんです。そういった経験もあったので、私としては違う問題を出すようにこだわりました。

── 様々なジャンルの問題を取り揃えているのも、『埼玉クイズ王決定戦』の魅力の1つですね。

そうですね。同じ問題や偏った問題を出すと「しょせん埼玉県はその程度か」と思われてしまうのが悔しくて(笑)埼玉の魅力ってこんなにいろいろあるんだぞ、ということをアピールしたくて、多種多様な問題を用意しています。

例えば「市町村をあいうえお順で並べる、面積順で並べる」とか、「『新』という文字がつく駅は県内でいくつあるか」とか、そういった埼玉県全体を相対的に捉えた視点って、クイズじゃないとできないことだと思うんです。そういった誰も気づいていないようなことを問題に反映していきたいですね。

こだわり抜いた1問1問をストックしながら、予選ごとにバランスを考えて、ジャンルや地域、時事的なものを偏らないように工夫し取り揃えながら、イベント直前まで準備をしていました。

── 問題のネタが枯れることはないですか?

ネタが枯れることは、まず無いんじゃないかな。 というのも、埼玉県はクイズ問題が非常に作りやすい土地柄だと思うんです。なぜかと言うと「絶対的なコレ!」というものがないから(笑)なおかつ、エリアの面積は小さいのに63もの市町村があって、それぞれが自己アピール、自己発信をしています。だからスポーツチームも多いし、ゆるキャラの数も日本一なので、それだけ問題に使えるエピソードも増えるというわけです。 さらに、埼玉新聞の他にも、いろいろな新聞の埼玉版があって、新たな情報も日々配信されているので情報やネタに困ることは無さそうですね。

── そういったお話を聞くと埼玉って奥深いなと思います。ところで『埼玉クイズ王決定戦』では、能勢さんが問題読みも担当されていました。これは能勢さんの希望によるものですか?

いえ、決して自分から売り込んだということではないです(笑)ただ、第1回目の子ども大会のスタッフの方から、私が読んだほうがいいのではないかという提案を受けたのがきっかけです。もちろん、私も出題するのは嫌いではないので、結局お受けすることになりました。

── 早押しクイズでの問題読みって、少しコツが必要なんですよね。

そうなんです。早押しクイズって、問題を読み上げている途中でボタンを押され、正解されて、すぐに次の問題に移ることってけっこうありますよね。だから、なるべく問題のフォローをすることが大事だなと考えていて、その後どういう問題文が続いたのかを伝えるために最後まで読むように心がけています。

あと、「パネルクイズ アタック25」の児玉清さんをイメージして、クライマックスの時には「(解答)、正解!」と、解答を繰り返すように言っています。解答者の声がよく聞こえないこともあるので、正誤判定のワードが何だったのかを会場全体にアピールして、会場に居る方々が置いてけぼりにならないように意識をしています。
>>>次回も『埼玉クイズ王決定戦』にまつわるトークが続きます。イベントの効果や参加者からの反応など、回を重ねるごとに見えてきた課題や今後のビジョンについて、能勢さんの見解を伺いました。

取材協力:栗林拓司
掲載日時:2019/03/22 11:00
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